Web Brutalism
#WebDesign #長文
Web Brutalism
Brutalist WebsitesというサイトからWeb Brutalismという呼称は始まったらしい。サイトは存在しているが今は更新が停止している。https://brutalistwebsites.com/
https://hallointer.net/ はWeb Brutalismを標榜しているわけではないが、定期的に更新されている。
https://gyazo.com/6d6aa2589a8cc992540f6c789f7cb553
私がWeb Brutalismに出会う前(Flash時代)
2010年をすぎると、徐々にFlashコンテンツが少なくなっていった。iPhoneが徐々に一般化していった時期で、iPhoneにFlashPlayerが搭載されなかったため、Flashを使ったウェブ上でのクリエイティブは霧散してまった。
iPhone以前は、企業が主に広告のために、Flashを使って派手な演出やインタラクティブな仕掛けを持った特別なウェブサイトを作っていた。シンプルな商品サイトだけ作っても必ずしも人が来るわけではないので、その話題作りために作られていたり、実験という名のもとなんとなく作られていたり。また、よくできたコンテンツに関しては、SNSやアワードで褒められ、作るモチベーションになっていた。ただiPhone登場以降、そういったサイトは徐々に衰退していった。
スペシャルコンテンツが減少していった理由はわからないが
Flash的なコンテンツの目新しさが失われた
実はCMやバナー広告ほど、効果的ではなかった、コスパがよくなかった、虚業だった。
デジタル広告費が、snsの広告、アプリ開発などに流れた
などがあるかもしれない。
iPhone登場以降は、ウェブデザインの黎明期的な実験性は失われ、機能的なものが重宝されるようになった気がする。インターフェイスや視覚効果よりもコンテンツを正確に表示するようなものだ。ただ、単に筆者が作っていたようなエンタメ的な広告コンテンツが減少したため、相対的にそう見えていたのかもしれない。
とにかくそのようにして、Flashクリエーターは、異なる業界(アプリ・CG・グラフィックデザイン)などに進んで行で行く人もいた。また、欧米ではGAFAのようなビッグテックに入る人も多かった。
一方、Flashの死以降、Webクリエイティブで筆者の希望となっていたのはWebGLとThreejsであった。Flashも末期には3Dをサポートしていたが、シェーダーが書きづらいなど問題があった。ThreejsはGLSLで、そのあたりのカスタム性とお手軽性を備えていた。当時Chromeが登場したててWebGLを推していたこともあり、筆者もその辺の活路を探っていた時期があった(ちなみにThreejsの作者のMr.DoobもFlashクリエーターだった)。スペシャルコンテンツのようなサイトは減少したとはいえ、WebGL的なスペクタクルな演出は今も一定の需要はあるようだ。
個人的に残念だと思っているのは、クリエーティブコーディングやネットアートのような発想を使った企業のウェブサイトが減ってしまったことだった。WebGLは見るもものの3D映像プレイヤーのようになってしまった。一方、企業のサイトにクリエーティブコーディングのような奇抜な表現は不必要だったのかもしれないとも思う。ただ、デザインが画一化されすぎているようにも思うので誰かいい塩梅を探ってほしい。
web brutarismとグラフィックデザイン
そんな中、WebBrutarismというジャンルを知り、非常に興味を引かれた。ブルータル建築のように、コンクリート素材は剥き出しで無骨だが、形態は奇抜で、妙な存在感があるものだ。そこにはiPhone以降のウェブデザインで失われてしまったような、視覚的な実験やコンセプトの実験があるように思った。
iPhoneのせいか、業界が成熟したのかわからないが、ウェブデザインの型のようなものができ、定型的で多様性は失われたようにも思っていた。例えばハンバーガーボタンが右上にあって、とか、ファーストビューにでかい文字でコピーが置かれていたりとか。そういった退屈で表現が硬直化してしまったウェブサイトに対するカウンターとしてのWebBrutarismに惹かれた。
また、WebBrutarismからは、一部のグラフィックデザイン文化が育んできたような、視覚表現に対する探究的なノリを感じた。時折、日本でJAGDAっぽいなどと揶揄されるような奇抜な形状やレイアウトのグラフィックが見られるが、自分はそういった実験性が好きであって、ウェブデザインにもそういう部分を求めていた。
私がグラフィックデザイナーががっつりデザインしたサイトに自分が初めて触れたのは、長嶋りかこさんがデザインしたPeace Shadow https://peaceshadow.net/ というサイトであった(元々kitasenjudesign.iconが在籍していたバスキュールがサイトは作っていて、最初はFlashだったがのちにHTMLに移植された)。ウェブデザイナーはあまり使わないようなHelvetica系のサンセリフの文字が大胆に配置されていて、その当時そこまでグラフィックデザインを追っていたわけではないが、ウェブデザイナーのそれと違いと良さを感じた。同氏デザインのナイトクルージングというサイトもよかった。https://nightcruising.net/
その後、良いと思ったサイトのデザイナーをチェックすると、長嶋氏の事務所に勤めていたデザイナーであることを発見し(小池アイ子さん、岡崎真理子さん、Ray Masakiさん)、グラフィックデザイン業界が持つノリと、ウェブデザインの交差点が、WebBrutalismなのではと思いを強くした。
商品価値
ウェブデザイナーはウェブサイトを制作した対価として金銭を得る。ウェブサイトはテキストエディタがあれば誰でも作れるから、誰でも作れそうなものから距離を取る必要がある。その距離が大きいほどプロっぽいと言うことになる。
逆に、誰でも作れそうなものは、金銭的な価値を持ちづらく、わかりやすいプロっぽさというものはどうしても必要になる。
一方、WebBrutarism的なものは実験性や剥き出し感があるスタイル。大企業などは採用が難しくなる。アートやファッションなどは相性が良さそうではある。
ジャンルが、個人的に、反体制主義的なデザインに先鋭化されていく。
うまくやっている人もいる。
OKOK service
Outsider Web Designとの違い
アウトサイダーアート/デザインは、あるメインストリームの文脈から外れたアートやデザイン。アートで言えば、正規の美術教育を受けず、現代美術やファインアートの文脈も持たないアート/デザインを指す。つまり以下はアウトサイダーウェブデザインだ。
阿部寛のサイト
ジオシティーズのデザイン群
一方、WebBrutarismはプロが意識的にやっている。故に技巧的であることや文脈は重要な要素だ。実験的であることは、既存の文脈へのカウンターとも思う。
アウトサイダーウェブデザインはこちらを参照 https://blog.slndesignstudio.com/archives/2010/07/post_683.html
嫌な方向性
自分が考えるWebBrutarismの重要なポイントは実験性。なので、スタイルもあるのだが、精神性が必要だと思う。
時々Web1.0のような古いスタイルを真似するサイトがあるが、実験性や歴史への愛着がないものはそんなに面白く感じなかった。
例えば、GinzaのサイトがBrutarismっぽいのだが、上澄を拾ってるだけで、なんか嫌だった
例えばikeryo https://ikeryou.jp/ さんの実験は、すごくいい。なぜなら工夫や実験があるからだ
拙作のHTML SKETCHESも同じ方向性
https://gyazo.com/6de93e3c2624fd7d9cbc44c6810a9001
デフォルト感
Flashを使ってる時、あまりデフォルト感を感じなかった。
あえていうとFlashが用意しているUI componentだが、あまり目にしなかった。
HTMLはデフォルト感がすごく存在している。白い背景、左寄せの文字、青いアンダーラインがついたリンク
Unityでいうとデフォルトの画面やプリミティブな形状、レンダリング
デフォルトは基準点であり、あえてデフォルトを使ったり、そこから離れたりと、楽しさがある。WebBrutalismはその絶妙な距離を設計することでもある。
これは、ソフト・環境による、たとえばAEとかはわかりやすいものはないような気がするがどうだろうか?
HTML Energy
https://html.energy/ HTML Energyという運動も存在する。
Web Brutalism一派は、視覚に重きを置いているように思うが、この周辺のコミュニティの人たちは、よりコンセプトを重視しているように見える。Poeticという言葉も散見される。Web Brutalistとは別のクラスター感を感じる。
https://tinyawards.net/
This is the home of the Tiny Awards, which, since 2023, has celebrated the best of the small, poetic, creative, handmade web.
https://internetphonebook.net/
手に入れられてないがインターネットフォンブック
ミングホンマニファクチャリングも近いノリを感じる
https://minguhongmfg.com/
この辺の整理が必要。
永原先生のHTML Energy考が来月出るらしい、これは楽しみ。
https://gdr.jagda.or.jp/articles/83/